理事長挨拶

2007年2月、特定非営利活動法人「アジアの子どもたちの就学を支援する会」(ASAP)の設立が東京都に承認され、私たちの活動が始まりました。

この活動のきっかけは、私が以前カンボジアを観光で訪れたとき、かつての戦争や内戦でひどい環境におかれた小学校を目にしたことでした。その荒廃した光景は自分自身の戦後体験と重なり、「何かをしなければ」という強い思いがこみ上げました。2006年3月、私はシェムリアップ近郊のトロク小学校に校舎を寄贈しました。

しかし私が本当に贈りたかったのは、建物そのものではなく、その中身である教育です。不足する教材、教科書、こわれかけのトイレ、給水設備、運動具、あまりの薄給のためむずかしい教員の確保、子どもの労働力にたよった農村の実情などの問題がこのままでは、せっかくの校舎も多くの子どもたちの役に立ちません。もっときめ細かな援助を続けたいと思案していたところ、多くの皆さまが力をお貸し下さり、任意団体「あきる野多摩川学園カンボジア校を育てる会」が発足しました。さらにこれがNPO法人「アジアの子どもたちの就学を支援する会」に衣がえして、継続してカンボジアの子どもたちの教育を支える体制が整ってきました。「何かをしなければ」という思いに端を発した活動がNPOに引き継がれ、息の長い活動を踏み出したことは、本当にありがたいことです。

いまカンボジアを訪れる人は、戦争、内戦の残した悲惨さと、発展の遅れを強く感じるでしょう。しかし同時にトロク小学校の子どもたちのひたむきな姿は、私たちに幸せとは何かを教え、私たち自身の過去を振り返るきっかけを与えてくれます。

日本の子どもたちを取りまく環境はあまりにも恵まれており、ふたつの国は比べることさえ難しいほどかけ離れていますが、豊かさゆえに「もったいない」という言葉を忘れた私たちに、カンボジアの人びとは多くのヒントを与えてくれるはずです。

私たちの願いをご理解くださり、ご賛同いただける皆さまのご支援をお願いし、ごあいさつといたします。

 

特定非営利活動法人
アジアの子どもたちの就学を支援する会
理事長  長谷川 安年